▣ パスキー入門
パスキーは、パスワードに代わる新しい認証方式で、利便性と安全性の両方を大幅に向上させる技術です。従来のパスワードは、ユーザーが覚える必要があり、複雑なものほど安全ですが、同時に忘れやすくなります。また、パスワードの使い回しや、フィッシング攻撃などによる漏洩リスクが大きな問題となります。一方、パスキーはこれらパスワードの欠点を克服するために設計された理想的なシステムです。
パスキーは、公開鍵暗号方式を利用しており、ユーザー側で秘密鍵を安全に保管し、サーバー側には公開鍵だけが保存されます。これにより、秘密鍵が外部に漏洩するリスクが低くなります。
公開鍵暗号方式とは、ペアとなる公開鍵と秘密鍵を使用してデータを暗号化・復号する仕組みです。公開鍵で暗号化されたデータは、対応する秘密鍵でしか復号できないため、安全に情報をやり取りすることができます。
ユーザーがログインを行う際、パスキーを使うと、デバイス上にある生体認証(指紋認証や顔認証など)やPINを使って認証するため、覚える必要のあるパスワードは不要です。
また、パスキーはフィッシング対策にも優れています。従来のパスワードはユーザーが入力するため、偽のウェブサイトに誘導されて入力してしまうリスクがありますが、パスキーはデバイスで認証を行うため、偽サイトにパスキー情報を入力することがありません。さらに、パスキーはデバイス間での同期が可能で、ユーザーはどのデバイスからでもスムーズにログインできます。
これらの特徴により、パスキーはユーザーにとってパスワードを覚える負担をなくし、安全性を向上させるとともに、フィッシングや情報漏洩のリスクを減少させる優れた認証方式となっています。パスキーの普及が進むことで、より安全で使いやすいオンライン環境が実現されることが期待されています。
パスワード方式はSSL通信を使っていても危険な理由があります。SSL通信は、通信経路を暗号化することで外部からの盗聴を防ぎますが、パスワード自体が漏洩するリスクを防ぐものではありません。
例えば、フィッシングサイトに誘導されてパスワードを入力してしまった場合や、キーロガーなどのマルウェアによって入力されたパスワードが盗まれる可能性があります。
また、同じパスワードを複数のサービスで使い回すことにより、一つのサービスから漏洩した情報が他のサービスでも悪用されるリスクがあります。このように、SSL通信を使っていてもパスワード方式には根本的な安全性の課題が残っています。