🔲 Keycloak入門
Keycloakは、オープンソースのアイデンティティ・アクセス管理ツールで、シングルサインオン(SSO)、多要素認証(MFA)、Passkey(パスキー)認証など、ユーザープロビジョニングなどを簡単に実装できます。特に、OAuth2.0、OpenID Connect、SAMLといった標準的なプロトコルをサポートし、企業や組織がユーザー管理を効率化するのに役立ちます。Keycloakの使用には、以下の知識が重要です。
- 認証と認可の基礎:
- これらの概念は、ユーザーのアクセス権限管理を理解するために必要です。
- プロトコル知識:
- OAuth2.0やOpenID Connectの仕組みを理解することで、Keycloakの強力な認証機能を効果的に利用できます。JWTおよびPKIの暗号技術の知識も重要です。
- デプロイメントスキル:
- Keycloakを安全にインストールし、設定するためのサーバー管理スキルが求められます。例えば、NginxのProxyサーバの構築やDockerのコンテナを利用した仮想サーバの構築知識も重要です。
- カスタマイズ:
- JavaScriptを用いたログインページのカスタマイズや、Keycloakの管理機能を最大限に活用するための設定が重要です。
これらの知識を身につけることで、Keycloakを利用した安全で効率的なアイデンティティ管理を実現できます。上記の用語および各種機能について、これから順次、説明していきます。
🔲 Keycloakを採用する理由
従来のHTML、JavaScript、SQLサーバーによるユーザ管理・アクセス制御方式に比べ、Keycloakを採用することで、以下の点で大きな利点があります。
- セキュリティ強化:
- KeycloakはOAuth2.0やOpenID Connect、SAMLといった標準的な認証プロトコルをサポートし、シングルサインオン(SSO)や多要素認証(MFA)、Passkey(パスキー)認証を容易に実装可能です。これにより、ユーザの利便性と安全性が大幅に向上します。
- 開発効率の向上:
- Keycloakは豊富なAPIや管理ツールを提供しており、ユーザ管理やアクセス制御の実装が簡単になります。従来の手作業による認証・認可ロジックの開発が不要になり、開発時間を大幅に短縮できます。
- スケーラビリティと柔軟性:
- Keycloakは高いスケーラビリティを持ち、大規模システムでも効率的に運用可能です。また、様々な外部IDプロバイダーとの統合や、カスタム認証フローの実装も柔軟に対応できます。
- 一元管理:
- ユーザ管理、ロールベースのアクセス制御、クライアント設定を一元的に管理できるため、運用管理が容易になります。従来の分散管理に比べ、運用コストの削減が期待できます。
Keycloakを採用することで、セキュリティ強化、開発効率、スケーラビリティ、運用管理の面で、従来の方式に対して大きなメリットを享受できます。
◆ Passkeyのデモ動画
Keycloakのパスキー認証を使ったデモ動画です。Webアプリケーションに高度なパスキー認証システムを導入することで、安全性と利便性の優れたセキュリティシステムの開発が可能です。パスキーは、キーボードから入力する「パスワード」の代わりに生体認証(指紋、顔)を使って、手軽にログインできます。あるいはスマートフォンを使った認証連携も可能です。
◆ パスキーの基本的な仕組みについて
パスキーは、パスワードに代わる新しい認証方式で、高いセキュリティと利便性を両立させています。
基本的な仕組み
パスキーは公開鍵暗号方式を利用しています。この方式では、公開鍵と秘密鍵のペアを使用します。
- ユーザーがサービスに登録する際、デバイス上で秘密鍵と公開鍵のペアが生成されます。
- パスキーとして利用する同期鍵(公開鍵ペア)は、各OP毎に生成され、秘密鍵は、デバイス毎に複製されます。ただし、最も重要なデバイス内に保管されているRootの秘密鍵が外部に出ることはありません。安心してください。
- 公開鍵のみが認可サービス側(Keycloak)に送信され、保存されます。
認証プロセス
- ユーザーがサービスにログインしようとすると、認可サービス側がチャレンジ(認証要求)を送信します。
- デバイスは秘密鍵を使用してこのチャレンジに対する応答(署名)を生成します。
- 生成された署名が認可サービス側に送信されます。
- 認可サービス側は保存している公開鍵を使用して署名を検証し、認証を行います。
セキュリティと利便性
パスキーは以下の特徴により、高いセキュリティと利便性を実現しています。
- フィッシング耐性:秘密鍵がデバイスから出ないやサービス・プロバイダとの紐づけを行っていることから、フィッシング攻撃の耐性に優れています。
- 生体認証との連携:指紋や顔認証などと組み合わせて使用できます。
- マルチデバイス対応:クラウドサービスを介して複数のデバイス間で同期可能です。
- パスワードレス:ユーザーがパスワードを覚える必要がありません。
標準化と普及
パスキーはFIDOアライアンスとW3Cによって標準化が進められており、Apple、Google、Microsoftなど主要IT企業が採用を推進しています。これにより、様々なプラットフォームやサービスでの互換性が確保されています。
パスキーは、従来のパスワード認証の課題を解決し、より安全で使いやすい認証方式として、今後さらに普及していくことが期待されています。